「SHIROH」感想、今更なんですけど
なんで今ごろ半年前の芝居の感想など載せるんやっってことなんやけど、やっぱり夕べロンドンでの同時多発テロで多くの市民が亡くなったというニュースを聞いたあとで、「SHIROH~LIVE」を聞いていたら、涙がこぼれてきたから(仕事に行く前の朝っぱらから泣いててどうすんねんってことやねんけどね)。
権力者が始めた戦争で、普通に生活していた人々が突然その戦争に巻き込まれてしまう悲劇。370年前の日本史上一番有名な宗教戦争・島原の乱に現代の戦争を重ね合わせて作られた作品やったんやけど、人間らしく生きたいと願う若者たちが戦い、裏切られて死んでいくんよ。権力者はどんな権利があって、人間の生死を左右できるんやと、見ながら考えさせられたなぁ。
この芝居の感想は、自分のサイトに載せてたものやねんけど、日常の方に転載させてもらいましたので、悪しからずご了承くださいませ。
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05年1月15日・劇団☆新感線「SHIROH」 梅田コマ劇場
島原の乱をモチーフにして、原城に追いつめられた人間たちが権力者によって押しつぶされてしまう悲劇を描いていました。
島原の人々は重税と飢饉による生活苦からの救いをキリスト教に求め、救いの御子の出現を望んでいました。
島原の益田四郎時貞(上川隆也)は若い頃病人に触るだけで、病気を治してしまう奇跡を起こしていました。ある日、もう助からないように見えた娘にすがられ、ロザリオを渡して「これを持っていれば病気が治る」と教えます。それによって娘は病気が治るのですが、ロザリオを持っていたという理由でキリスト教徒でもないのに、殺されてしまったのでした。島原の四郎はそのことがきっかけで奇跡を起こす力を失い、自分が奇跡を起こせることをただ嬉しがっていただけで、神を試していたのだと苦しんでいました。そして自分がロザリオを渡した為に殺されてしまった娘リオの幻影を見ていました。
天草のシロー(中川晃教)はバテレンと日本人の間に生まれ、鎖国政策によってバテレンの親と共に国外追放になったのですが、その船が難破したために日本に戻って来ていたのでした。そして難破船に残されたバテレンの財宝を闇市で売りさばいて暮らしていたのです。シローの歌声は不思議な力を持ち、その歌を聴けば、どんな人間もシローの思いのままに操ることができました。
闇市に財宝を売りさばきにきていた天草のシローは役人に捕まってしまいます。そのときシローはリオの幻影に導かれ、歌声の力を使いませんでした。牢獄に捕らわれたシローは島原の四郎の父・甚兵衛と姉に会うます。
天草のシローの力を知った甚兵衛は息子の替わりに、天草のシローを救いの御子として利用しようとします。父と姉を助けに来て二人のシローは巡り会い、島原の原城に立てこもって幕府と最後の一戦を交えることになったのでした。
舞台の左右にはテレビモニターが重ねて置かれ、芝居が始まるまで東京の雑踏が流されていました。そして戦闘の場面には、イラク戦争(?)で出撃する米軍の戦闘機やデモ行進する民衆の姿を流していました。
劇団☆新感線の芝居は、長いです。今回も昼1時に始まって休憩25分、カーテンコールを含めて終了したのが、5時5分前でした。その長い芝居で膨大なロックミュージカルを歌い上げたキャストの力量に敬服してしまいました。やはり中川晃教の歌声は凄いです。終盤には彼の歌声を聞くだけで、涙が止まらなくなってしまっていました。ただ人間らしく生きていきたいと願う天草のシローの純粋な魂の叫びが私の心に突き刺さってしまったようでした。
島原の四郎役の上川隆也は武士らしく一軍を率いていく姿と、キリストにも通じる悩みに苦しむ姿が、ニンにぴったりあってて見応えがありました。
劇団☆新感線といえば大爆笑の連続というイメージがあったのですが、今回は重い場面の合間に、新感線の笑いが観客の緊張をほぐすという程度に薄められていました。
この物語は、劇団☆新感線と中島かずき、いのうえひでのりらしい反戦メッセージだったのではないでしょうか。
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