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2005.08.30

第15回 上方歌舞伎会 印象評

8月21日(日)昼の部 「第15回 上方歌舞伎会」 国立文楽劇場

 歌舞伎の感想って結構難しいので、一応私が感じた印象評ということでお許しください。 

「菅原伝授手習鑑」・・・梅王丸を演じたのが片岡千次郎君。千次郎君はどちらかというと線の細いタイプなので、今回のような本格的な荒事のお役を務めるのは初めてとのこと。衣装も着込むし、隈も取るので千次郎君のイメージが消えてしまっているので、力強い演技などを拝見しているとこれが千次郎君なのかと見直しました。松王丸の片岡千志郎君はガタイが立派なので松王丸の力強さがニンにぴったり。もちろん上辺だけでなくちゃんと現在千志郎君の持てる力全てをつぎ込んで演じきった松王丸だったのではないでしょうか。桜丸の扇一朗君は、まだ余裕がなくてちょっといっぱいいっぱいだったような気がしました。

 「芦屋道満大内鑑」・・・いわゆる「葛の葉の子別れ」というだけあって、ほぼ葛の葉の一人芝居といってもいいかもしれません。その葛の葉を演じたのが今回で一応上方歌舞伎会の舞台から卒業予定の中村鴈乃助さん。葛の葉姫(歌舞伎用語で赤姫と呼ばれる典型的な姫役)と狐が化けた女房葛の葉の二役。赤姫の方はちょっと作ってる感があって深窓の令嬢にはちょっと無理があるかなぁという感じだったんですが、女房葛の葉の方は、情の細やかさとか子供と別れる哀切さとかとても見応えがありました。ただ葛の葉が障子に書き残した一首の字が平凡だったのが残念だったかな。
 葛の葉の亭主・安倍保名役は片岡松三郎さんだったんですが、現在は浪人しているとはいえ元宮中の陰陽博士だったという高貴さがあまりなくて、ちょっと世話がかってたのが残念でした。

 「伊勢音頭恋寝刃」・・・最初芝居が始まった印象は、“若い”でした。万野役の片岡松乃亟さんと客の一人・次郎助役の片岡當十郎さん以外は上方歌舞伎塾の卒業生で固めた配役でした。卒塾生ばかりで世話物の狂言が一本できるようになってきたのかとちょっと感慨ものでした。
 油屋の仲居・千野役で片岡千壽郎君が出てきたのですが、物腰といいセリフ回しといい立派に世話物の人物になれていたことに、「ほーっ、こういう身のこなしができるようになっていたんや」と思いながら見ていました。
 番付の挨拶で片岡秀太郎丈が「伊勢音頭~」の立役の指導は仁左衛門丈がなさったと書いておられたように、片岡松次郎君の福岡貢は、ところどころに仁左衛門丈の影が感じられました。福岡貢は歌舞伎的には“やさおとこ”の部類に入るのですが、松次郎君のきまじめさがまだまだ全面に出てて、ちょっと色気に欠ける残念なところもありましたが、とにもかくにもこんな大役を演じきって、また一段の成長があったのではないでしょうか。
 料理人・喜助役の片岡佑次郎君は役柄的にぴったりで楽しみにしていたのですが、こっちが期待していっただけに普通だったような気がしました。もうちょと目立って欲しかったかな。
 お紺役の片岡當史弥君って、こんなに綺麗な女形やったんかと再認識(笑)させていただきました。お鹿役の板東竹朗君、お鹿という難しい役でもうちょっと愛嬌が欲しいかなとは思いましたが、一途な女心を表現することで乗り切ったのではないでしょうか。 

 「春霞歌舞伎草紙」・・・これは出雲阿国一行が歌舞伎踊りをしていると阿国の恋人名古屋山三の亡霊が現れて・・・というストーリーの舞踊でした。
 この名古屋山三役に上方歌舞伎会初出演の中村鴈京君が挑戦したのですが、しっかりと日本舞踊を勉強していて、とても達者に踊っていたのでびっくりしてしまいました。(もうご存じの方もあるとは思うのですが、鴈京君は日系アメリカ人です。)

 毎年上方歌舞伎会で一番印象に残った若手を「今年の頑張ったボーイ」と勝手に名付けさせてもらってるんですけど、「今年の頑張ったボーイ」は片岡千次郎君です。

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コメント

こんにちは。今年も行かれたんですね。
この手の勉強会には長いこと行っていないので、興味深く拝見いたしました。

千次郎くんの梅王とは意外。若い内に色々やっときましょうということでしょうか。
千壽郎くんは相変わらず達者なのですね。
松次郎くんが貢ですかぁ、わっけー!

来年あたり、久しぶりに観に行ってもいいかなぁ。よろしければまた誘ってやってください。

投稿: Keiko | 2005.08.31 09:59

 >keikoさん、こんばんわ

 上方歌舞伎塾卒業生も随分歌舞伎役者らしくなってきてますよ。
 来年はお声をかけさせてもらいますね。是非ご一緒いたしましょう。

投稿: 村をんな | 2005.08.31 21:36

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